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『星空のレジェンド』作曲中(2) [お仕事]

 ようやく『星空のレジェンド』が4曲目まで完成しました。
 全部で13曲あるので、まだ曲数としては3分の1にも達していないことになります。年末までに上げるという約束で9月からはじめたのに、10月おわりでまだ3分の1弱というのは心許ないようですが、何度もぼやいたとおり、9月10月には他の編曲仕事や譜面作成の仕事がわんさか入ってしまい、作曲に宛てられる時間が非常に限られていました。そのことを考えれば、私自身の手応えとしてはまあまあいい線ではないかという気がしています。
 この曲を頼まれたいきさつについては書きましたけれども、平塚市の合唱連盟から、七夕にちなんだ企画として委嘱されたものです。織女・牽牛の物語を、ちょっと洋風にした感じのテキストを、バリトン歌手で合唱指導者の大川五郎氏が書き下ろし、作曲のお鉢が私に廻ってきたというわけでした。
 あまた居る合唱作家のうち、なんで私のところに来たかというと、『TOKYO物語』でナレーションをつけてあったために、語りを伴うようなのが得意なんではないかと思われたようです。もちろんそれだけではなく、それがきっかけで私のホームページなどを調べたところ、劇音楽が好きそうだということがわかったのでしょうが。
 世の中、何が契機になるかわからないものがあります。

 初演は来年の6月27日ということに決定しています。『セーラ』6月21日ですから、6日しか差がありません。『セーラ』の稽古には、私も全面的に立ち会わなければなりません。『星空』のほうはそんなにしょっちゅう行かなくとも良いのでしょうが、それにしても本番近くなれば何回かは平塚まで足を運ばなければならないでしょう。来年の6月は、けっこうあわただしいことになりそうです。
 初演にあたっては、すでにある合唱団にやらせるわけではなく、この曲を演奏するための合唱団を大々的に公募したそうです。平塚には元Chorus STのメンバーである友人がひとり住んでいて、ちょくちょくいろんな合唱イベントに参加したり、芝居に関わったりしているようなので、もしかしたら応募したかもしれません。
 どの程度の人数が集まったのかは、まだ教えて貰っていませんが、ともかくその公募合唱団が11月から練習開始ということになったようです。それでさしあたり至急、10月中に何曲か送って欲しいという依頼が来たのでした。ファミリー音楽会の編曲作業などに大変多忙な時で、この前倒しには少々うんざりしたものでしたが、しかし結果的にペースを上げて良かったと思います。ここまでで4曲できたことで、11月中に5~6曲、12月に残り、という具合に予測が立てやすくなったのでした。

 いままで書いた4曲は、それぞれ児童合唱、混声合唱、女声合唱、ソプラノとテノールの二重唱という編成で、なかなかバラエティに富んでいます。大川先生が台本を執筆するにあたって、意識的にいろんな編成を組み入れたのだと思われます。このあとも、三重唱+混声合唱、児童+混声合唱、テノール独唱という風に続きます。
 公募合唱団の練習は、当然混声合唱としてはじめられるのでしょう。児童合唱はまた別の形で練習を進めることになるはずですし、ソリストを頼むのはもっとずっと近くなってからのことだと考えられます。
 それにしては、いままで送ることができた4曲の中に、混声合唱曲がひとつしか含まれていないのには、若干申し訳ない気がしないでもありません。あとに出てくる混声合唱用の曲を先に作ってしまうべきであったかとも思いました。
 が、私はどうも、ストーリーのある音楽の場合、作曲順序を前後させるということが苦手です。組曲などでは、あとのほうの楽章を先に作ってしまうということもあるのですが、オペラやコーロドラマ、モノドラマなどだと、物語の展開に伴って発想してゆくのが常で、例えば第2幕を先に作っておく、というような芸当はまずできそうにありません。
 強いて言えば、序曲を最後に作るという場合はあります。序曲というのは、ロッシーニなどでもわかるとおり、途中に出てくるモティーフをメドレー的に並べることが多いためです(その点考えてみれば、モーツァルトのオペラの序曲はオペラ本体となんの関係もない音楽で、不経済というかゼイタクなものだと思います)。
 しかし『星空』にある「序曲」は、名前は序曲ですが実際には独立した児童合唱曲なので、これもあとまわしにはしづらいのでした。
 この前、ファミリー音楽会で演奏するために、『セーラ』の終曲を先に作曲してしまいましたが、これは冒頭に序曲的に出てくる合唱曲の再利用であったからできたことで、まったく新しいものを作らなければならないのだったら諦めていたところでした。
 まあ、アマチュア合唱団ですから、1曲の音とり練習に2週間くらいはかけることでしょう。第2曲の混声合唱曲を練習しているあいだに次のを届けられるであろうことを期待するしかありません。

 その「序曲」、すなわち第1曲が、えらく長くなってしまったということは前に書きました。8分半という、普通の合唱曲2曲分のボリュームになってしまったのです。曲想的には、わらべうた風のテーマ、幅広くゆったりと動く部分、それから元気よく活溌に歌う部分がかわるがわる現れる形で、聴いていて飽きるということは無いとは思いますが、歌う子供たちの集中力が保つかどうかは多少心配です。
 それより何より、1曲だけでこんなに時間をとるのであれば、13曲済ませたらどれほどの時間になるものか、下手をすると100分以上の大作になってしまうのではないかと不安になりました。もちろんそんなに大量では、書く作業だってえらい騒ぎです。
 渡された台本を見る限り、2、3分というサイズでまとめられそうなコンパクトな歌詞はほぼ無いのでした。このあとの曲がたとえ5分ずつだとしても、正味で70分近くを要することになり、語りが伴いますからやっぱり1時間半近い舞台ということになるでしょう。
 ともあれ2曲目を書いてみました。牛飼いのアルテオ、つまり牽牛の平穏な一日を描いたテキストで、9聯まであります。9番まである有節歌曲、なんてことにすると退屈きわまることになりますので、テンポを変えたり、展開を変えたりと、いろいろ工夫しなければなりませんでした。
 これを書き終えて、finale演奏時間測定ユーティリティにかけてみたら、約6分半という数字が出ました。
 これはえらいことになると思い、大川先生に相談のメールを出しました。相談というより脅迫に近かったかもしれません。
 つまり、この調子でゆくとものすごく長い作品になってしまいかねないので、テキストを適宜省略してもよろしいですか、と訊ねたわけです。省略しないと大変なことになりそうですよ、ということを言外に匂わせたのでした。
 台本作者としては内心断腸の想いであったかもしれませんが、100分かかりかねないという事態はやはりまずいと思われたのでしょう、同意の返事が来ました。
 それで早速、第3曲の女声合唱で、ばっさりと刈り込みました。もともとこの曲の歌詞には、同じフレーズがリフレインとして何度も登場していたため、それを数回省略したのです。あとのほうのテキストを読むと、そういう箇所はけっこういくつもあって、これならなんとか刈り込めるのではないかと思いました。
 省略の甲斐あって、第3曲は約3分半というコンパクトさにおさめることができました。コンパクトと言っても、3分半くらいの演奏時間の合唱曲はいくらでもあるわけで、むしろ地域の合唱祭などで歌われるものとしては標準サイズと言えるでしょう。
 次の第4曲の二重唱は、かなりベタなラブソングで、私はそういうのを書くのが好きなのでついつい想いがこもりました。麻稀彩左さんの台本には滅多にラブソングが含まれず(最後に書いた『レストラン』でかろうじてそれっぽい部分が出てきましたが、ごく短いフレーズに過ぎませんでした)、自作の台本は愛を詠ったものが多いとはいえ独唱で歌うものが多く、ベタベタな「愛の二重唱」となると、ICHICOさんの『おばあさんになった王女』の中で王女と木こりの若者が理解し合うところを、無理矢理ラブソングと認定して作ったことがあるくらいです。ちなみにその時は

 ──「A Whole New World」みたいですね。

 と言われましたが、まさにそのとおり、「アラジン」をイメージして書いたのでした。
 ともかくそういうわけで、大好物な二重唱だったわけですが、やはり歌詞の分量が半端でなく多いため、途中は対位法的な掛け合いにせざるを得ませんでした。これをやると、言葉が聴き取りにくいというデメリットが生じます。いろんなオペラでやっていることではないかと思われるかもしれませんけれども、実はオペラの重唱というのは、同じ歌詞を何度も繰り返して歌うということがかなり多く、流れ自体が会話になっている時を除き、いちどしっかり独唱で歌詞を伝えたあとで掛け合いになって繰り返されるというケースが普通なのです。私も通常ならそうするのですが、とてもそんな時間的余裕はありませんでした。
 そんな手管を使ったものの、この第4曲は4分45秒くらいになってしまいました。もし歌い手たちが私と同じくらいの思い入れを持って歌ったりしたら、5分超えということにもなりかねません。
 要するにここまでで、正味23分半くらいかかっているわけで、このあとの曲はもっと厳しく刈り込んでゆかないといけなさそうです。大川先生の手前心苦しいのですが、こればかりはやむを得ないでしょう。
 さて、今年も残すところ2ヶ月余り。できる限り余計な編曲仕事など入れずに、作曲に専念したいものだと思います。なかなか思うようにはゆかないかもしれませんが。


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